iPhone・Galaxyで撮る星空トリック写真 幻想的な作例と撮り方を解説

一見、本物のグランドピアノが天の川の下に置かれているように見えるこの写真。実はスマートフォンで撮影されたトリック写真です。本物のグランドピアノを星空が美しく見える夜間の屋外に運び、撮影するのは現実的ではありません。しかし、スマートフォンを使えば、それを“創る”ことができます。この写真では、少し光沢のあるテーブルの上にミニチュアのグランドピアノを置きました。テーブルに星空がほのかに反射し、より幻想的な雰囲気を演出できます。スマートフォン(iPhone 16 Pro)を三脚で固定して撮影しました。被写体の高さは約15cm、スマホとの距離は約60cmです。

天の川の下に静かにたたずむ遺跡を表現した写真です。実際の遺跡ではなく、ジオラマ用の石柱を使って撮影しました。 撮影にはGalaxy Z Fold6を使用し、被写体までの距離は約40cm、被写体の高さは約30cmほどです。Galaxy Z FoldやFlipシリーズに搭載されたフレックスモードを活用すれば、三脚なしでも地面に置くことで安定した撮影が可能です。そのため高さわずか30cmのジオラマでも、地面すれすれのアングルから見上げるように撮ることで、まるで本物の遺跡が夜空にそびえ立っているかのようなスケール感を演出できるのです。 本物の遺跡でこのような構図を撮るには、天の川と遺跡の位置関係、機材の運搬、治安、天候、そして夜間の立ち入り制限など、さまざまな困難があり現実的には非常に難しいです。しかし、スマートフォンなら、そうした制約を超えた表現が可能になります。

ここでは、その具体的な方法から、スマホならではの撮影のコツまで、詳しく解説していきます。

星空トリック写真にスマートフォンが適している理由

一眼カメラなどセンサーサイズの大きいカメラでは、焦点距離との関係でピントの合う範囲が狭くなる傾向があります。このため手前の被写体と遠くの星の両方を同時にピントを合わせることが難しくなります。一方、スマートフォンはセンサーサイズが小さいため、自然とピントの合う範囲が広くなります。星空トリック写真においては、スマホのこの特性が大きな強みになります。

被写体の適切な大きさ

被写体には、高さ15cm以上のミニチュアや模型を使うのがおすすめです。小さな被写体でも撮影は可能ですが、ある程度サイズがある方がスマートフォンから距離をとって設置できるため、星空と同時にピントを合わせやすくなり、撮影の成功率が高まります。

例えば、翼の幅が約30cmある飛行機の模型を糸で吊るし、iPhone 16 Proで撮影したこの写真では、被写体をスマートフォンから約1m離して配置することができました。この距離が確保できることで、背景の星空とのバランスもとりやすく、ピントがしっかり合った写真に仕上げることができます。模型が大きい分、持ち運びはやや手間になりますが、その分、迫力ある一枚を狙いやすくなります。
一方で、小さな被写体でも工夫次第で撮影は可能です。下の写真では、高さ約10cmのイルカの模型を糸で吊るし、iPhone 16 Proで撮影しました。

被写体を大きく写そうとしてスマートフォンに近づけすぎるとピントが合いにくくなりますが、1mほど距離をとることで、イルカのシルエットと広大な星空を対比させるような構図に仕上げることもできます。こうした演出を活かせば、小さな模型でも印象深い写真を撮ることができるかもしれません。

ただし、糸で吊るす撮影は風の影響を大きく受けます。少しの風でも被写体が揺れてブレてしまうため、完全に無風の日を選ぶか、風を遮れる場所での撮影がおすすめです。

撮影方法

星空トリック写真の撮影は、仕組みを理解すれば意外とシンプルです。ここでは、基本的な手順と、使用したスマートフォンごとの設定ポイントを紹介します。

基本的な撮影手順

スマートフォンを三脚で固定し、そこから50cm〜1m程度離してミニチュアの被写体を置いて撮影します。構図としては、手前に被写体、奥に星空が重なるように配置します。

スマートフォンごとの設定と撮影

スマートフォンは星空と被写体の両方にピントが合わせやすいといっても、すべての機種がこのような星空トリック撮影に適しているわけではありません。今回は、次の機種を使用しました。

iPhone (16 Proなど)

センサーサイズの小さいスマートフォンでも遠くの星と手前の被写体の両方にピントを合わせるのは難しそうに感じます。 しかし、iPhone 16 Proでは、その両方を自然なバランスで写し出すことができました。

実際の撮影はナイトモードを使用します。星空の撮影方法は以下に詳細に記載していますが、画角の選択は「1×」が適しています。

iPhoneで天の川・星空撮影の限界に挑戦 撮影完全ガイド

Galaxy(Sシリーズなど)

Galaxyでは、専用の「Expert RAW」アプリを使うことで、より高度な天体撮影が可能です。対応機種では「天体写真モード」でのフォーカス設定で「マルチ」が選べる場合があります。これは、手前・中間・無限遠といった異なるフォーカス位置で撮影された複数の写真を、AIと画像処理によって自動的に重ね合わせる機能と考えられます。 その結果、手前の被写体と奥の星空の両方がくっきりと写る、完成度の高い写真を作り出すことができます。またGalaxy Zシリーズのように「フレックスモード」が使える機種では、スマートフォンを自立させられるため、三脚なしでも安定した撮影が可能です。Zシリーズなどでは「ナイトモード」でも十分な星空のトリック写真が撮影できるケースもあります。

Galaxyで天の川・星空撮影の限界に挑戦 撮影完全ガイド

※今回ご紹介したのは一例であり、すべてのスマートフォン機種で検証したわけではありません。他の機種でも条件や設定によっては、同様のトリック写真が撮れる可能性があります。

作例ギャラリー

※ 新しい画像が出来れば都度追加していきます。

日常的な存在である「扉」と、非日常である「宇宙」とが一枚の写真の中で交差し、どこか非現実的な雰囲気を醸し出しています。構図はシンプルながらも、見る人によってさまざまな解釈が生まれるのではないでしょうか。 撮影にはiPhone 16 Proを使用しました。被写体の扉は黒いテーブルの上に設置しており、高さは約20cmです。スマートフォンとの距離はおよそ1メートルです。

蒸気機関車という古典的なモチーフは、見る人に物語を想起させるかもしれません。 撮影にはGalaxy S23 Ultraの天体写真モードを使用しました。 見晴らしのよい場所にある手すりに、全長約25cmの蒸気機関車の模型を置き、手すりを橋梁に見立てて撮影しています。 カメラとの距離はおよそ1メートルです。

※最初はうまくいかなくて当然です。このページで紹介している作例も、実は何度も試行錯誤を重ねて撮影したものばかりです。最初から思い通りの写真が撮れなくても気にする必要はありません。また妥協も大切です。イメージ通りにいかなくても、予想外に魅力的な一枚になることもあります。

まとめ

星空そのものを撮るのも素敵ですが、ちょっとした工夫や演出を加えた星空写真も、立派な表現のひとつです。特別な機材がなくても、手元のスマホと少しのアイデアがあれば、誰にも真似できない一枚を作ることができます。自分だけの世界観を、ぜひ写真に込めてみてください。