AppleフラッグシップモデルであるiPhone 16 Proと、その前世代機であるiPhone 15 Proが、星空撮影においてどのような進化を遂げたのか、その性能差を徹底的に比較検証します。両機種ともに高難易度のアンドロメダ銀河の撮影に成功しているものの、iPhone 16 Proは前モデルと比較して全く異なるレベルに進化しており、その撮影結果には明確な差が見られました。
星空の色合いと鮮明度の違い
星空撮影で特に顕著だったのが、iPhone 16 ProとiPhone 15 Proの色合いと鮮明度の違いです。以下の比較写真は、天の川銀河とアンドロメダ銀河を同時に捉えたものです。
iPhone 15 Pro

iPhone 15 Proでは、画面左に天の川銀河、左下にはアンドロメダ銀河がはっきりと写っています。しかし、星空全体に黄色っぽい色味が乗り、さらに縦方向にうっすらと黄色い帯状の線が映り込む現象が確認されました。この現象は他のユーザーからも報告されており、特定の個体だけでなく、iPhone 15 Proの特性として起こりうる可能性が高いと考えられます。古いiOSバージョンや画像処理に起因すると考えられますが、詳細な原因は不明です。
iPhone 16 Pro

一方、iPhone 16 Proでも同様に天の川銀河とアンドロメダ銀河が鮮明に写し出されています。特筆すべきは、空の色合いが自然な青色で描写され、非常に美しい星空を実現している点です。iPhone 15 Proで見られたような黄色い帯のような線はほとんど目立たず、空の自然な色合いが保たれています。この色の表現力の違いは、星空写真のクオリティに大きな影響を与え、iPhone 16 Proが星空撮影において圧倒的な優位性を示していると言えるでしょう。
アンドロメダ銀河の拡大比較
次にこれらの写真のアンドロメダ銀河をトリミングして拡大すると、その性能差はさらに顕著になります。
iPhone 15 Pro

アンドロメダ銀河の輪郭は捉えられているものの、全体的にぼやけた印象があり、周辺の星の数も限られています。
iPhone 16 Pro

対して、iPhone 16 Proで撮影されたアンドロメダ銀河は、非常にくっきりと鮮明に写し出されており、その周辺に存在する星の数も圧倒的に多いことが分かります。わずか一世代でのこの進化は、まさに驚異的と言わざるを得ません。
なお、iPhone 16 ProもiPhone 15 Proも、基本的な星空の撮影方法は同じです。しかし、美しい星空を捉えるにはいくつかの撮影のコツが必要です。詳しい手順やポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
iPhoneで天の川・星空撮影の限界に挑戦 ソフトウェア処理の秘密も公開【内容変更】
iPhone 15 Proで見られる黄色い帯の対処法|編集で改善可能
拡大比較で見たような根本的な差を埋めるのは難しいですが、iPhone 15 Proで発生する黄色い帯は、写真編集によってある程度改善することが可能です。
標準「写真」アプリでの編集手順

まず、標準の「写真」アプリを開き、編集したい画像を選択して「編集」ボタンをタップします。

1. フィルタを使用する
最も簡単なのは「フィルタ」を選ぶ方法です。

例えば「ノアール」を選択すると、全体的に白黒に近づき、黄色い帯は消えます。

しかし、フィルタはパターンが限られており、必ずしも好みの仕上がりになるとは限りません。
2. 「調整」で細かくカスタマイズする
そこで、「フィルタ」ではなく「調整」を選択すると、より細かく色味を調整できます。フィルタを適用してから調整を行うことも可能です。

例えば、フィルタで「ドラマチック」を選択し、調整で「彩度 -35」、「自然な彩度 -55」、「色合い +25」に設定した画像がこちらです。

全体的に黄色い帯が目立たなくなったのではないでしょうか。
もう一つの例として、iPhone 15 Proで撮影された画像です。

これを調整で「彩度 -80」、「自然な彩度 +80」、「暖かみ -100」に設定すると、以下のようになります。

全体的な色合いを保ちつつ、黄色い帯を目立たなくすることができました。このように黄色い帯など意図しない色は彩度を下げるとうまくいきやすいです。
なぜ「彩度を下げる」と黄色い帯が改善されやすいのか?
「彩度」とは、色の鮮やかさや純度を表すものです。彩度を下げると色が灰色に近づき、色の情報がシンプルになります。特に、黄色い線が周囲の青や黒といった夜空の色相とは異なる場合、彩度を下げることで色の差を曖昧にし、その後の色温度や色相の微調整がより効果的に行えるようになります。これにより、不必要な色の主張を抑え、画像を自然な印象に近づけることができるのです。
iPhone 16 Proの登場で、星空撮影はさらに手軽に、そして美しくなりましたが、iPhone 15 Proをお使いの方も編集のコツを掴めば、納得のいく一枚を仕上げることが可能です。ぜひ今回ご紹介した方法を試してみてください。
まとめ:iPhone 16 Proの星空撮影は進化 15 Proの課題も編集で克服可能
iPhone 16 Proは、その前世代機であるiPhone 15 Proと比較して、星空撮影において目覚ましい進化を遂げました。特に、星空の色合いの自然さとアンドロメダ銀河のような天体の鮮明な描写において、その優位性が明確に示されています。iPhone 15 Proで見られた「黄色い帯状の線」の問題も、16 Proでは改善されており、より美しい夜空を捉えることが可能です。
一方で、iPhone 15 Proで撮影された写真に黄色い帯が入ってしまっても、標準の「写真」アプリやその他の編集ツールを使うことで、ある程度の改善が見込めます。特に、「彩度を下げる」編集手法は、意図しない色味を目立たなくするのに有効であり、全体の調和を保ちながら写真をより自然な印象に仕上げることができます。
iPhone 16 Proの登場で、手軽に高品位な星空撮影が楽しめるようになりましたが、iPhone 15 Proユーザーも編集のコツを掴むことで、素晴らしい一枚を創り出すことが可能です。